今年に入って、クラウドファンディングによる会社への出資を可能する動きが日本でも取り上げられるようになりました。アメリカでは既に始まり出している変化ではありますが、日本でも可能となるのは数年先だろうと思われていたことだけに、大きな熱気と共に注目が集まっています。

本日は、米フォーチュンの成長するクラウドファンディング〜Crowdfunding tries to grow up〜という記事を参考に、注目集まるクラウドファンディングの米国での最前線をお届けします。

【参考】

「次のFacebookを探せ!」2017年、第4次ネットバブルの注目テーマと関連企業って?
21世紀の産業革命?何かと話題のMAKERS(メイカーズ)のまとめ
クラウドファンディングとはどんなサービスか?〜新時代のファイナンスは世界をどう変えるのか〜


◉とあるクラウドファンディングの事例


独立前には、小売業の役員を務めていたサラ・ドヴォラック氏は絶望していました。彼女は、今では貯金を使い果たし、家族からも借金し、地元の開発グループのマイクロファイナンスを受けていました。

というのも、サンフランシスコに、国産品(ミネソタ産カマンベール、北カリフォルニア産シルキーシープミルクチーズなど)専門のカフェ「Mission Cheese」を開業するためです。しかし、昨春の開業日3週間前になっても、商品の貯蔵・展示用冷蔵ケースを入手できていなかったのです。
起業に向け22万5千ドルを工面したものの、まだ1万2千ドル不足していたのです。そこで彼女は、サンフランシスコに拠点を置くウェブサイトIndiegogoで、一般の人々に向けて直接、資金要請しました。
そして、その結果は「1ヶ月で必要な資金が集まったの。泣いてしまったわ。」とのことでした。


◉クラウドファンディングの2大巨頭〜IndiegogoとKickstarter〜


Indiegogo Kickstarter など、クラウドファンディングと呼ばれるウェブサイトでは、アイデアのある人ならほぼ誰もが自分の夢の資金集めに挑めます。
クラウドファンディング擁護派は、これは融資やベンチャーキャピタルといった従来の資金調達モデルを一変させ、起業家、クリエイター、そしてチーズ屋さんにも大きな変化が起きる可能性を秘めているとみています。業界規模について確かな試算は難しいですが、調査機関Massolutionは、昨年の27億ドルから増え、今年度は約50億ドルが集まると予測しています。

なお、IndiegogoとKickstarterの2大クラウドファンディングサイトは、今後のあり方について大きく異なります。

2008年、元証券アナリストら数名で創設したIndiegogoは、エクイティ型(株式型)クラウドファンディングを可とする新たな法律や、この類いのウェブサイトにより創設された設立まもない会社の一部を保有する非公認投資家の能力を支持しています。
クラウドファンディングでは、個人支持者がこれまでに受け取った返礼は、挨拶レターや商品のサイン付きコピーといった特典だけでした(ドヴォラック氏の場合は、ギフトカードとお店のオリジナルTシャツでした)。


◉エクイティ型クラウドファンディングとIndiegogo


エクイティ型(株式との交換型)クラウドファンディングは、「将来の成功に向けてスタートが切れることを約束しています。従来はそんなチャンスすらなく、自力で資金を集めなければならないため、なかなかスタートが切れませんでした。」と、イノベーションの第一人者であるハーバードビジネススクール教授クレイトン・クリステンセンは言います。
また、「従来は、どんな知り合いがいるか、どんな友人がいるか、カントリークラブやハンプトンに行くか次第でした。」と、J.P.MorganおよびCowen & Co.のエンターテイメント業界アナリストとして6年働いた経験をもつ彼女は言います。

そもそもは小さな映画プロジェクトに注力していたIndiegogoも、今や大人のおもちゃ発明家からロンドンのカフェまで、世界中で10万件以上の事業に資金調達をおこないました。昨年、フロリダのカップルが不妊治療の資金調達キャンペーンを始め、初の「クラウドファンディング赤ちゃん」が誕生しました。

Indiegogoはサイトで集まった金額の9%を手数料として受け取ります。目標額を達成したキャンペーンの手数料は4%です。ミッションに忠実に、クラウドファンディングサイトのAndroidになりました。
つまり、ほぼ誰でも資金調達に参加できるオープンプラットフォームになったということです。申請が認可されるのを待つ必要はなく、許可されないのは違法プロジェクトのみです。

すべての起業家が自由に資金を確保できるようにするという精神に則り、Indiegogoは、合法化され次第、資金調達の株式交換を許可する計画です。

米国証券取引委員会はまだ、エクイティ型クラウドファンディングの規制・監視を支援する正確な規則を発表していないため、リンゲルマンも今後どうなるかはっきりとはわかっていません。
しかし、小口投資家に扉を開くことは、Indiegogoの民主的精神に合致すると言われています。