こんにちは、前回 過去の人気投資信託ランキングから今後のトレンドを占う【前編】~また時代は繰り返すのか?~ をお届けしたsayaです。

前回の記事では2007年から2009年のファンドの人気ランキングと当時の経済、金融情勢をお伝えしました。今回は2010年から2012年のファンドの人気ランキングと経済情勢の振り返りをお伝えします。

【参考】

バラエティー豊かな海外投信vol.1〜意外な人気商品?英国学生寮ファンド〜
パフォーマンスという名の空想?〜投資信託はどこを見るべきか〜
【イベント参加報告】モーニングスターETFカンファレンス2012
なぜ日本人の間で、毎月分配型投信は人気が高いのか?


◉2010年の人気投信ランキング


2010年のファンド別資金流入ランキングを見ると、ハイイールド債とエマージング債券に投資するファンドが人気です。

(編集注:ハイイールド債ファンドは、リスクが高い代わりに高利回りなハイイールド債券に複数投資し、分散効果によって高い利回りを狙いつつリスクを低減しようというものです。)

2010年度ファンド別資金流入ランキング と最近のポートフォリオ

※ランキングはETFを除く追加型株式投信について2010年12月30日時点
※モーニングスターカテゴリは2013年4月30日、投資地域は2012年8月~9月のデータです

2010年春以降、ギリシャ・ショックなどを受けて、リスクに敏感となっていたグローバル投資家は、次第に米国経済の減速傾向に注目するようになり、景気悲観論が強まります。

こうした流れのもとで、市場では、株価が軟調に推移するとともに、長期金利の低下傾向が明確化しました。2010年下期に入ると、米国で金融緩和が強化されるとの観測が強まり、長期金利はさらに低下します。その中で、少しでも高い金利を求めて、ハイイールド債券やエマージング債券、そしてREITタイプの投信などが流行しました。特に、前年と同様に通貨選択型の人気が加速し、人気商品が沢山出た年でした。
この一方で、株式をはじめとするリスク性資産の価格は回復に向かいました。その後、年末にかけて、市場予想を上回る経済指標などを受けて、米国景気に対する悲観的な見方が後退したこともあって、異例の水準まで低下していた長期金利は大きく上昇に転じます。

この間、欧州財政問題が再燃するなかで、国際金融資本市場では、改めてこの問題に対する懸念が強まりました。また、活発な資金流入を背景に上昇を続ける新興国株価や商品市況について、その過熱感を警戒する動きもみられるようになります。